2010/09/20

【オススメ】羽月莉音の帝国とゲゼル理論

最近、友人の薦めで読み始めたライトノベル『羽月莉音(はづきりおん)の帝国』が非常に面白いので紹介します。
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主人公;羽月莉音が理想国家を建国を目指しに幼なじみ達と革命部という部活を立ち上げる。
国家建国に必要な資金、軍事力を保持する為に会社を設立し株式公開、M&Aを駆使し資金を調達してゆく...。

ライトノベル特有の荒唐無稽&萌え要素はそのままに本格的に経済を学べます。
それもそのはずで、原作者の至道流星氏は現役会社経営者だそうです。インターネット関連のネタが多いとこから推測するとIT関連でしょうね。WPとかGoogleAnalyticsとか出てくると思わずニヤっとしてしまいます。

1巻ではものすごくシンプルに会社設立、事業の始め方が学べます。
こうやてお話として読むと会社経営って面白そうだなー。


さてさて羽月莉音の掲げる理想国家(3巻参照)を読んでいて気付いた事があります。
これって『エンデの遺言』からのオマージュではないのか?もっと言うとシルビオ・ゲゼルのゲゼル理論ですね。

ゲゼル理論をシンプルにいうとお金に有効期限を持たせるという考え。つまりお金も人間同様に年老い消えてゆくもという事。この世のあらゆるものが有限なのに対しお金だけは無限にその形を残す事に対しての問題定義ですね。
100万円分の食料を貯めても半年くらいで腐りその価値を失います、しかしお金はその価値を半年、1年後も価値が同様にあり(多少は変動しますが...)使えるので人々はお金を溜め込み経済を滞らせるんですね。
実はこの理論を実際に地域通貨として実践された例もあります。場所は1932年オーストリア。非常に短期間ですが、滞った地域経済が一時立ち直ったそうです。結局政府のお達しで取りやめになりましたが...。

ちなみに羽月莉音が掲げる理論はこうです。
「あたらしいお金- 電子マネーで実現させたい。 最大2%の範囲内で、デジタル上の口座のお金が自動的に減少してゆくの。所得や売買にかかわる税金とは別に、口座に眠っているお金が対象。〜中略〜どれほどの大富豪でも、何もしならければ数百年後には100万円に近づくようなシステム。タックスヘイブンをなくし、資産の隠匿もできなくしないと。」

目減りするという点が非常に似てますね。このシステムを使って今後彼女達がどんな世界を作ってゆくのかが非常に楽しみです。

この本を読んで思う事は世界がとんでもない仕組みの上に成り立っている事。そしてお金は一部のものの独占物ではなく、労働の正当な対価でなくてはならないという事。我々は今とても素晴らしい時代に生きているような気持ちでいましたが、この世界はこんな単純な事すらかなえられていないんですね。ゆえに未だ世界に貧困が蔓延している。

企業、経営についても学ぶだけじゃなく、この世のおかしな仕組みについて立ち止まって考えてみる非常に良い機会になりました。オススメです。


エンデの遺言についてはこちらをご参照ください。

原作者のサイト




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